解糖系

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解糖系

 

解糖系とは、グルコースをピルビン酸又は乳酸に代謝される経路のことをいいます。

 

解糖系の目的はグルコースからATP(アデノシン三リン酸)、つまりエネルギーの生成を行うことです。
※ATP=アデノシンにリン酸基が三つ結合している。

 

10〜11段階の反応からなり、全て細胞質中で行われます

 

ATPとはアデノシン三リン酸の略で高エネルギー結合を持った化合物であり、生体内で加水分解されるとエネルギーが生成されます。

 

ほとんどの生物が生命を維持するためにATPのエネルギーを利用しています。

 

解糖系は、嫌気的な条件下(酸素を必要としない)でも代謝することができ、嫌気的な条件化では1分子のグルコースから2分子のATPを生成することができます。

 

ちなみに好気的条件下では、シャトル経由及びクエン酸回路経由で、電子伝達系が働き、酸化的リン酸化によりATPが生成されます。
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解糖系の具体的な経路を拡大して見てみましょう。

 

経路図全体像▼
解糖系 経路図⇒解糖系全体図

 

解糖系の全体図を見てみると、グルコースから@〜I又はJまでの段階を踏み、ピルビン酸か乳酸にまで代謝されているのがわかると思います。

 

緑色の矢印で書かれているのは酵素(ヘキソキナーゼなど)で、反応に必要な化学物質です。

 

嫌気的な条件下(無酸素)では、ピルビン酸まで代謝された後にATPが生成され、乳酸が生じます。

 

一方好気的な条件下(有酸素)ではピルビン酸はクエン酸回路に入り、代謝されていきます。

 

解糖系は理解すると単純な構造ですが、最初はわかりにくいと思います。

 

解糖系の流れを図で確認しながら一つ一つ反応ごとに解説していきます。

 

反応の過程を一つずつ見ていき、並行して全体像を確認しながら、しっかりと理解しましょう。

 

 

反応@

⇒解糖系全体図

解糖系の1番最初に起こる反応です。
グルコースがヘキソキナーゼの働きにより、ATPを1個使用してリン酸化され、グルコース-6-リン酸を生成する反応になります。

 

このとき、左側を見てみるとATPが一つ消費されていることがわかります。

 

ATP中のリン酸が反応に使用され、ADP(アデノシン-2リン酸)となっています。

 

この反応は不可逆的(一方通行)で、グルコース-6-リン酸からグルコースを生成することはできません。

 

ちなみにヘキソキナーゼは酵素の名称で、肝細胞ではグルコキナーゼと呼ばれることもあります。

 

 

 

 

 

反応A

⇒解糖系全体図

2番目の反応ではグルコース-6リン酸からグルコースホスフェートイソメラーゼ(又はグルコースリン酸イソメラーゼ)の働きにより、フルクトース-6-リン酸が生成されます。

 

 

 

 

 

反応B

⇒解糖系全体図

3番目の反応ではフルクトース-6-リン酸からホスホフルクトキナーゼの働きによりATPを1個使用して、フルクトース-1,6-ビスリン酸が生成されます。

 

@の反応と同様に1個のATPが使用されます。

 

この反応は不可逆的(一方通行)で、フルクトース-1,6-ビスリン酸からフルクトース-6-リン酸を生成することはできません。

 

 

 

 

 

反応C (A・B)

⇒解糖系全体図

4番目の反応では、フルクトース-1,6-ビスリン酸からアルドラーゼの働きにより、グリセルアルデヒド3-リン酸(4A)ジヒドロキシアセトンリン酸(4B)の合計2つの化合物を生成します。
※4Bの反応は全体図の右上端に記載

 

 

 

 

反応D

⇒解糖系全体図

CBの反応で生成されたヒドロキシアセトンリン酸から、トリオースリン酸イソメラーゼの働きによりグリセルアルデヒド3-リン酸に変換されます。

 

この遠回りする反応で、グリセルアルデヒド3-リン酸が2分子が生成されます。(2倍の個数になるという意味です)
※分子は2倍になりますが、炭素は2分割しているので、この反応で1分子あたりの炭素数は3まで減少します。↓

C〜Dでできる生成物と炭素数▼

 

 

 

 

 

反応E

⇒解糖系全体図

NADH2の生成

6番目の反応ではグリセルアルデヒド3-リン酸から、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼの働きにより、1,3ビスホスホグリセリン酸が生成されます。
この反応では補酵素であるNAD+が必要となり、NAD+は水素を受け取りNADH2を生成します。※全体図には記載していません。
この反応は反応Jで説明しますので、とりあえずこういった反応もあることを知っておいて下さい。

 

 

 

 

 

反応F

⇒解糖系全体図

7番目の反応では1,3ビスホスホグリセリン酸から、ホスホグリセリン酸キナーゼの働きにより、3-ホスホグリセリン酸を生成します。

 

この反応でADPにリン酸が付加されることにより、ATPが1分子生成されますが、これを基質(又は基準)レベルのリン酸化といいます。

 

 

 

 

 

反応G

⇒解糖系全体図

8番目の反応では3-ホスホグリセリン酸から、ホスホグリセリン酸ムターゼの働きにより、2-ホスホグリセリン酸を生成します。

 

 

 

 

反応H

⇒解糖系全体図

9番目の反応では、2-ホスホグリセリン酸からエノラーゼの脱水作用(H2Oを奪う働き)により、ホスホエノールピルビン酸を生成します。

 

 

 

 

反応I

⇒解糖系全体図

10番目の反応では、ホスホエノールピルビン酸から、ピルビン酸キナーゼの働きにより、ピルビン酸を生成します。

 

この反応でも反応Fと同様に基質レベルのリン酸化により、ADPから1分子のATPを生成します。

 

10番目の反応も不可逆的(一方通行)で、ピルビン酸からホスホエノールピルビン酸を生成することはできません。

 

 

 

 

反応J

⇒解糖系全体図

11番目の反応は嫌気的な条件下(無酸素条件)で起こり、ピルビン酸から乳酸デヒドロゲナーゼの働きにより、乳酸が生じます。
※好気的な条件下(有酸素条件)ではJに進むことなく、クエン酸回路(TCAサイクル)に進みます。

 

嫌気的な反応(J)は、激しい運動をしているときなど、酸素(O2)が不足した場合の筋肉などで起こり、反応@〜Jで合計2分子のATPを生成することができます。

 

さらに反応Jでは、嫌気的条件下における解糖系で連続してATPの生産を行うために、反応Eで必要なNAD+を供給する役割があります。

 

下記図を見てもらうとわかると思いますが、反応JでNAD+を生産し、反応Eに供給することで効率よく連続して反応させることができます。↓

 

解糖系補足▼

ATPの生成

まず、嫌気的条件下の解糖系では反応@とBの段階で2ATPを消費します。

 

反応FとIでそれぞれ1分子ずつATPを生成しますが、反応CとDで2分子の生成物となっているため2倍のATP、つまり合計4ATPを生成しています。

 

合計4ATPから消費した2ATPを引くと、計2ATPとなるため、嫌気的条件下における解糖系では2ATPが生成されるというわけです。

 

 

下記図を参考にしてください↓

 

乳酸

筋肉細胞では、激しい運動などに備えて乳酸デヒドロゲナーゼを利用し速やかにATPを生産できるようになっています。

 

酸素の供給が不足するような激しい運動を行うと、解糖系でのATP産生が優位になりますが、細胞に乳酸が蓄積してしまいます。

 

細胞に乳酸が蓄積するとpHが低下し、解糖系が抑制を受けるので筋肉の疲労原因になります。

 

生じた乳酸は血液に放出され、肝臓に運ばれた後に糖新生に利用されます。

 

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