糖新生

栄養士の基礎勉強講座〜わかりやすい生化学〜

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糖新生

 

糖新生とは?

糖新生とは、エネルギー産生の主要物質であるグルコースが不足した際などに、グリセロール(脂質)、アミノ酸、乳酸など、糖質ではない物質からグルコースを生成することをいいます。

 

絶食などの状態では始めに肝臓のグリコーゲンがグルコースに分解されエネルギー源として利用されますが、1日で枯渇してしまうために糖質以外の物質から、エネルギー源であるグルコースを生成する必要があります。

 

しかし、糖新生は絶食時だけでなく、正常な状態でも激しい運動などで嫌気的な解糖系により生じた乳酸をグルコースに再生するためにも使用されています。

 

肝臓や腎臓以外の臓器には糖新生に必要な酵素が存在しないため、糖新生のほとんどが肝臓で行われます。(腎臓は微量)

 

糖新生は大量にATPが消費されます。

 

糖新生の経路

 

糖新生の経路はそのほとんどが解糖系と真逆の反応ですが、3カ所だけ不可逆的(一方通行)な反応が存在し、糖新生独自の経路や酵素が使用され反応が進行します。

 

不可逆的な反応は、

@グルコース6−リン酸からグルコースが生成する反応(独自の酵素)
Aフルクトース6−リン酸からフルクトース1,6−ビスリン酸が生成する反応(独自の酵素)
Bピルビン酸からホスホエノールピルビン酸が生成する反応(独自の経路)

の三カ所になります。

糖新生経路の不可逆的反応
糖新生

 

乳酸の糖新生経路(コリ回路)
 

糖新生の主な材料である乳酸の反応を例にして、糖新生独自の経路と酵素を確認してみましょう。

乳酸の糖新生経路図
糖新生

 

嫌気的(無酸素)な解糖系によって生じた乳酸が出発地点になります。

 

まず乳酸はピルビン酸に変換されます。

 

しかし、解糖系の逆順路であるピルビン酸からホスホエノールピルビン酸への変換はできません。

 

それは解糖系でホスホエノールピルビン酸からピルビン酸へ変換させる酵素であるピルビン酸キナーゼが不可逆的な反応しかできず、しかもその逆反応を促進する酵素も体内に存在しないためです。

 

そのため、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に変換するためには糖新生独自の反応経路を進む必要があります。
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糖新生

 

まず、ピルビン酸はミトコンドリア内部でピルビン酸カルボキシラーゼによりクエン酸回路の中間生成物であるオキサロ酢酸に変換されます。

糖新生

 

しかし、オキサロ酢酸はミトコンドリア内膜を通過できなため、ミトコンドリア外に放出するためにリンゴ酸デヒドロゲナーゼにより、一度リンゴ酸に変換します。

糖新生

 

そして、ミトコンドリア内膜を通過したリンゴ酸は再びリンゴ酸デヒドロゲナーゼにより、オキサロ酢酸に変換されます。

糖新生

この一連の過程を経て、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼによりホスホエノールピルビン酸へと変換されます。

 

その後は解糖系と真逆の順序で反応は進みますが、

A)フルクトース6−リン酸からフルクトース1,6−ビスリン酸が生成する反応
B)グルコース6−リン酸からグルコースが生成する反応

の二つに関しては解糖系で使用される酵素が不可逆的なため独自の酵素が使用されます。

 

A)フルクトース6−リン酸からフルクトース1,6−ビスリン酸が生成する反応では、フルクトース1,6−ビスホスファターゼという糖新生独自の酵素が使用されます。

糖新生

 

B)グルコース6−リン酸からグルコースが生成する反応ではグルコース6−ホスファターゼという糖新生独自の酵素が使用されます。

糖新生

 

このように筋肉などで蓄積した乳酸を肝臓などで糖新生を行い、グルコースに変換して再利用する経路をコリ回路と呼びます。

 

乳酸以外の糖新生

 

糖新生の材料として、乳酸以外にはグリセロールや糖原生アミノ酸(糖に変換可能なアミノ酸)があります。

 

グリセロール

グリセロールは脂肪組織に貯蔵されている中性脂肪(TG)がリパーゼによって加水分解される生成物です。

 

糖新生に合流するためには、グリセロールキナーゼと呼ばれる酵素でグリセロール3−リン酸に変換する必要がありますが、脂肪組織にその酵素がほとんど存在しません。

 

そのためグリセロールは一度血液中に放出され、肝臓に運ばれた後にグリセロール3−リン酸に変換され、ジヒドロアセトンリン酸を経て糖新生経路へ合流します。

糖新生

 

糖原生アミノ酸(グルコース-アラニン回路)

飢餓状態が続くと、筋肉細胞を分解し糖に可能なアミノ酸(糖原生アミノ酸)を使用し、糖新生を行いグルコースを生成します。

 

まず糖原生アミノ酸は筋肉中でクエン酸回路の途中で合流し、ピルビン酸を合成します。

 

次にピルビン酸からアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のよってアラニンに変換されます。

 

生成されたアラニンは血液中に放出され、肝臓に運ばれた後に糖新生経路でグルコースを生成します。

 

この一連の過程をグルコース-アラニン回路と呼びます。

グルコース-アラニン回路
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