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保育園栄養士は基本的に園に一人というパターンが多く、業務内容は多岐に渡ります。調理は栄養士が行っている園もあり調理の合間を縫って事務作業を行い、保育士が足りないときは保育にも携わることがあるため想像していたよりハードという場合も。
また保育園栄養士の役割としても重要なのが子供たちへの「食育」。成長期の子どもに行う食育は将来的にも生活習慣病の予防などにも繋がるとても重要な役割を持っています。今回はそんな保育園栄養士の仕事内容や待遇などを詳しく解説します。
保育園栄養士の主な仕事内容は、調理、給食管理、発注や献立、給食だよりの作成から各種書類・帳票類の作成、食育の立案・実施まで、基本的には一人で行うことも多いです。しかし、複数の園を持つグループなどでは献立を考える栄養士が別途いることもあったりと業務内容は様々。主な仕事内容をまとめてみました。
保育園によって調理や洗浄など、調理師の有無にもよって仕事内容が変わります。小規模の園では栄養士が調理を全てまかなうことも珍しくはありません。規模の大きい園では調理師がメインで調理を行ってはくれますが盛り付けやおやつ造りは栄養士が行うなど様々ですが、基本的には調理作業が必ずあると考えていいでしょう。
また病院や介護施設よりも難しいと言われているのがアレルギー対応。子どものアレルギーは大人とは違い、少量でも命に関わることがあるので気が抜けません。子どもは複数のアレルギーを持っていることも多く、アレルギー対応食はかなり細かくなるため簡単ではありません。
保育園においても大切なのが給食の衛生管理。子どもの食中毒は命に直結することもあるため、しっかりとした衛生管理が必要とされています。手の洗い方、野菜の洗浄・消毒方法、まな板の区分けなどのマニュアルを一から作成することもあります。
しかしながら、栄養士が長らくいなかった保育園の厨房では衛生観念のない調理員がいることも多く、そういった方への衛生指導なども業務に含まれます。調理員は目上の人も多いため、なかなかうまくいかないことも。
発注や献立、給食だよりの作成はもちろん、病院や介護施設と同じく保育園でも保健所の監査があるため、書類の作成や帳票類も用意しなければなりません。調理を兼務することの多い栄養士は慣れるまで事務作業を行う時間の確保が難しいといわれています。
保育園栄養士の一番のやりがいともいえる業務の一つ【食育】。保育園で行う食育は厚生労働省が出している保育所保育指針の内容を基本として実施、「食を営む力の基礎を培う」ことを目標とします。子どもの年齢によって、その目的や内容は異なるため、それを配慮しつつ各園の栄養士が主体となって考える必要があります。ただ闇雲に食に関する活動を行うのではなく、目的や目標の設定がとても大切です。
参考URL:厚生労働省 保育所における食育に関する指針
また食育は単に子どもだけに行うわけではなく、食を取り巻く環境全てに行うことも必要とされているため、園に通う保護者や関係者の食や栄養の悩み相談にのることもあります。ただ、最も大切なのは子どもが楽しんで食べたり、食へ興味を持つことなのでそこを念頭に入れていれば難しいことではありません。
・三大栄養素を教えるための紙芝居や人形劇
・手洗い指導:手にばい菌のスタンプを押して消えるまで洗うなど
・クッキング:一緒にクッキーを作る、保護者と一緒にケーキを作る、
・野菜の園内栽培:園内で野菜を栽培し、実際に食べる
・畑で収穫体験など
保育園で働いてみたいけど、気になるのは給料や休日などの待遇ですよね。地域や保育園によってもかなりの差はありますが、ハローワークで募集している求人を元に一般的な給与額や休日数などをご紹介します。
データ参考元:ハローワークより施設採用の栄養士求人のみ抽出(委託求人は除く)
保育園栄養士の月給は13〜33.6万円とかなり開きがあり、やはり関東方面は高い傾向にあります。また小規模な私立保育園よりも、グループ経営をしている規模が大きいとさらに高給となります。また賞与に関してはほとんどの保育園で支払われていて、2〜5カ月程度となっています。
調査してわかったのは、保育園栄養士の給料が同じ地域でも病院の管理栄養士などよりも高い場合があり、決して給料が安くはないということ。年収としては250〜400万円以上(概算)と開きはありますが、350万円程度であれば未経験でも貰える園も少なくはありませんでした。
保育園栄養士の給料
月給 | 13〜33.6万円 |
賞与 | 2〜5カ月 |
年収 | 250〜400万円程度 |
ハローワークから保育園栄養士の施設採用求人808件の休日数を調査しました。
休日数の割合
年間休日120日以上が37,1%と比較的休日数は病院や施設に比べて保育園の方が多い傾向にあります。次に多かったのが110〜114日程度で、栄養士の平均的な休日数と変わりません。土日が休みになる保育園も多く、栄養士の職場としては休日数が多いです。
また土日祝日完全休みという保育園は全体の9%程度で意外と少なく、土曜日が隔週で出勤というパターンが多く、GWや年末年始に連休が取れるため年間休日は多くなっています。
イベントごとや行事で土曜日や日曜日に出勤となった場合は振替休日となる園が多く、休日に関しては比較的良い印象です。
ハローワークより全国の保育園栄養士求人から残業の有無を調査しました。(月間平均残業時間)
保育園栄養士残業時間
残業がない保育園が全体の3割程度で、ある場合も5時間以内が5割を占めているため少ない傾向です。残業が月に10時間以上ある職場は数園の献立を掛け持ちで立てていたり、厨房の人手不足といった理由のようです。基本的にはほとんど残業はないと考えても大丈夫でしょう。
7:00〜20:00
多くの保育園が7時または8時に就業開始で、大抵は16〜17時ごろに退勤となります。一部保育業務を兼務している保育園では夜間勤務があり20時までとなるようです。
一人暮らしの方やご家族がいる方であれば、職場が補助してくれる入居可能住宅があると助かりますよね。住宅にかかる費用は生活費の大部分を占めるので、給与が低くてもお金に余裕が生まれます。ハローワークで調査したところ求人702件のうち35件、約0.7%で利用可能な住宅を保育園が補助してくれるようです。
保育園栄養士にも様々なスキルが必要で、勉強しなければいけないことも沢山あります。どのようなスキルや勉強が必要か解説します。
保育園栄養士は基本的に調理がメインとなることも多く、園によっては調理師がいないこともあるため調理技術は必須のスキルです。また全ての料理を一人で作る園もあり、効率的に仕事ができなければお昼に間に合わないこともあるため、ある程度の調理技術が必要になります。
また病院や介護施設とは異なり、保育園ではおやつを手作りで作ることが基本。簡単に作れるレシピや大量に作るための知識も必要になってきます。その他にも1〜2歳児を受け入れている園では離乳食も作らなければならないので乳児食の知識も学んでおいた方がいいでしょう。
近年、アレルギーが増えているといわれていますがその対応も知識がなければ対応できません。加工品にも多くの食品が含まれていたりと全ての食材のアレルギーを把握しなければいけません。レシピや献立を考えるときにもアレルギー対応する場合の別献立を作るための応用力も必要です。
子どもたちとの関わりはもちろん、普段最も園児に近い保育士とのコミュニケーションを取ることも大切なことです。また栄養に関する相談やイベント時にも親御さんと関わることもあるため様々な方とコミュニケーションを取る力が必要になります。円滑な食育を活動を行うためにもコミュニケーション能力は必須といえるでしょう。
やはり保育園栄養士の一番のメリットといえば「食」を通して子どもたちの成長に関われることでしょう。食育を通して好き嫌いなどの偏食が治ったり、食に興味を持ってもらい子どものかわいい笑顔を引き出せたときはこの上なくやりがいを感じることができるでしょう。
園にもよりますが、基本的には土日が休みなのもメリット。病院や施設とは異なり、イベントや行事以外で日曜日に出勤といったことは少なく、GWや年末年始にも休みがもらえるのでプライベートととの両立がしやすいです。
保育園の経験があると、育児や離乳食の知識がつ自身の子育ての際にも一般の方よりも容易にできるようになるでしょう。また保育園での経験を活かしてフリーランスとして働いている栄養士も多く、ライターや離乳食レシピの作成、保育園への献立・衛生の指導など様々な方面で活躍できる可能性もあります。
栄養士が一人しかいないという保育園も多く、体調不良などで急遽休むのも一苦労といったケースもあります。また同僚がいないので分からないことも一人で調べてやるしかなく孤独を感じることも。しかし意外と一人栄養士の方が気が楽という意見も多く一概にデメリットとは言えないかもしれません。一人だと自分のペースで仕事を進められるので向いている人にはメリットでしょう。
常に多忙で気が抜けない保育士さんとの関わりにストレスを感じている栄養士は多く、聞きたいことがあってもなかなか聞けないという声も。しかし常に子どもに寄り添っているのは保育士なので、意見を聞くのはとっても大事です。仕事を始めたばかりはなかなか信頼関係を築くまで時間はかかりますが、慣れると心強い味方になってくれるでしょう。
調理業務から食育の立案や実施、栄養相談、各種資料の作成から献立まで一人で行うことも珍しくはないため、業務量は多いでしょう。慣れるまでは大変かもしれませんが、基本的には提供するのが昼食とおやつだけなので慣れれば残業せずに業務を回せるようになるでしょう。
保育園で働くのに子どもが好きという理由だけではなく、どんな仕事があるのか把握した上で思っていたのと違うと後悔しないようにしましょう。しっかりと考えて、学びながら働ければ食を通じて子どもたちの笑顔を見れる魅力的な仕事です。
簡単な仕事ではありませんが、食育を通じて子どもたちの成長を食を通じてサポートしてみたい人は、是非挑戦してみましょう。