食品メーカーで働く管理栄養士の仕事内容

食品メーカーで働く管理栄養士の仕事内容

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学部問わず、就職先としても人気のある食品メーカー。健康や栄養意識が高まる昨今では栄養士を採用している企業もありますが、人気の高い研究職は農学部や薬学部など科学的な素養がある学科ではないと難しい場合もあります。

 

栄養士を目指す学生や食品メーカーに転職を考えている人も多いはず。そこで食品メーカーで勤務経験もある筆者が仕事内容や各部署ごとの役割などを解説します!もし興味がある方は参考にしてみてくださいね。

 

食品メーカーで働く栄養士の仕事内容って?

食品メーカーといっても部署ごとに全く業務内容は異なります。特に栄養士が関わる可能性が高いのは開発、企画・営業、衛生・品質管理の仕事になります。部署ごとの仕事を解説していきます。

 

食品メーカーの部署ごとによる仕事の違い

 

開発・企画・営業・マーケティング

 

大手食品メーカーの場合は細分化される部門ですが、中小企業の場合はこれらの業務を全て営業職や開発部門が行うこともあります。

 

栄養士が食品メーカーに採用される可能性が高い職種として営業職があります。食品メーカーにおける営業職は、営業先の小売店や飲食店などに製品を売るだけではなく市場調査、いわゆるマーケティングを兼ねていることが多いです。

 

また中小企業の食品メーカーでは営業職が企画・開発も担当していることが多く、一連の業務を全て行うことがあります。特に最近では健康を意識したお弁当や菓子類などの食品を販売している企業も多く、そういった場面でも栄養士としての知見が役に立つことがあります。

 

基本的に栄養士としての採用ではなく総合職としての採用になることがほとんどですが、企画開発に携わると栄養士として名前が商品に掲載されることもあるのでやりがいはあるでしょう。

 

衛生・品質管理

 

実は栄養学部卒業者と相性がいいのは食品メーカーの衛生・品質管理部門です。品質管理部は製品の品質を保つために作っている工場の監査や衛生指導、味やにおいなどの官能検査、微生物分析から製品の企画書や栄養表示の作成まで幅広い業務を行います。※企業により部門が分かれている場合も

 

工場内での勤務が主になりますが、クレームがあったときの原因追及も品質管理部の業務になるため、営業部とのコミュニケーションも密に取る必要があります。規模や内容はやや異なりますが、病院や施設の給食管理をイメージすれば分かりやすいと思います。

 

一見地味そうにみえる部門ですが、製品の安全性や味を守るため、食品メーカーにおいては重要な役割を持っています。また品質管理部は材料の知識や工場のオペレーションも学べるため、将来的に商品開発部に異動といったケースもあります。

 

開発部に採用されても数年は工場勤務になるケースも

 

自社工場を持つ食品メーカーであれば、商品開発部に採用となっていても1〜3年程度は工場で製造などの下積みが必要になることもあります。それは一般的な調理と工場での生産が全く異なるため、工場のオペレーションや一日生産量、使用できる食材などを事前に学ばなければ開発が難しいためです。

 

食品工場での製造経験があると、転職時にも重宝されることが多いです。反対に経験がない場合は開発部での採用が難しくなるケースもあるので注意が必要です。

 

ちなみに私の出身校でも大手の食品メーカーから製造部署の求人がありましたが、就職した栄養士いわく、かなりホワイトな職場で待遇もよかったとのことでした。

 

栄養士だと研究開発職として働くのは難しい?

 

 栄養学部の大学を卒業して研究開発職で働くには、様々な添加物、食品の科学的な知識や研究のための技術も必要とされます。調理や栄養といった知識よりも、科学的な知識や技術を求められることがほとんど。そのため栄養科の大学の中でも特に科学に強い理系の大学でなければ知識やスキル面でも難しいでしょう。

 

研究開発職の仕事内容

 

研究開発職の業務内容は、営業部やマーケティング部と市場のニーズやトレンドを調査・情報共有し、商品のコンセプトを企画・立案します。そこから既存素材や新素材を使い商品化していくための研究を行っていきます

 

 試作品ができたら官能評価などを実施し、営業や生産部門などの他部署と調整を行い新商品の開発をしていきます。研究開発といっても研究室にこもって仕事をするわけではなく、様々な部門と調整が必要になり、新商品のプレゼンなどにも関わることもあるのでコミュニケーションスキルも必要になってきます。

 

栄養学部出身者にも研究開発職はいますが、どちらかといえば農学部や科学部などの出身者が多い傾向にあります。しかし最近では健康食品や栄養補助食品など、栄養士としての知識を必要とする企業も増えてきているため、狭き門ではありますが可能性はあるでしょう。

 

研究職の業務例(基礎研究)

乳化香料の試作と分析
・乳化機器と香料の調合と調整
・乳化香料を使用した製品の試作及び官能検査など
・検査から評価(比重計、分光光度計等)と結果収集及びデータ処理
・原材料の検査

 

栄養士として採用する食品メーカーはほとんどない

 

大学に入ってから知る人が多いですが、食品メーカーに栄養士採用の枠は基本的にはありません。栄養士・管理栄養士の資格があれば尚可と記載している程度で、一般的には総合職などで採用となるケースがほとんどです。

 

稀に健康食品や医療介護現場用の業務用食品を販売しているメーカーの求人もありますが、その場合は委託給食の勤務経験や医療介護経験が必要になってきます。大手委託会社で自社製品を扱っている企業も開発部に栄養士がいるみたいですが、自社の現場栄養士を採用することが多いので求人は少ないです。

食品メーカーの給与

 

全国ハローワーク求人より▼

月給 12〜43万円(基本給になります。資格手当等含まず)    

 

賞与 0〜5カ月(計二回分)  

 

年収 250〜1000万円

大手の食品メーカーでは初任給でもかなり高い傾向にありますが、中小メーカーでは休日も少なくかなり安いところも多いようです。ただ、病院や施設とは違い、住宅手当や食事手当などがつく場合も多く待遇は商品メーカーのような企業の方が比較的良いと思います。

 

食品メーカーの給与はかなり幅が広く、会社の規模や部署、経験によって差があります。一般的には年収が400万円程度といわれていますが、中小企業の場合300万円前後と安い場合もあります。しかし経験や企業の規模、役職によっては年収1000万円を超えることもあるようです。